傑作新聞

第23回 [北京事情]極寒の中のぬくもり“暖気”

北京では今月はじめ1600万トンの大雪が降った。11月初旬だというのに、マイナス3度の寒波と共に、街が一面白色に染まったのだ。

この大雪は過去22年で最も早い初雪となったそうだが、実はこれ、北京市一帯の水不足解消のために降らせた人工降雪によるものだと報じられた。人工降雪とは大量の化学物質を上空の雲に散布し人工的に雪を降らせるというものだが、これにより航空便200便が遅延、交通事故や停電が数十回発生するなど街中がパニックに陥り、市民から大クレームが起こったそうだ。これらのクレームの大多数はこの人工降雪が「最も寒い時期」に起こった出来事のためであろう。

北京の「最も寒い時期」はずばり11月前半と3月後半である。真冬、北京の屋外は実は意外にも暖かい。その理由は「暖気(ヌァンチー)」。「暖気」とは配管にお湯を通して部屋を暖め、暖かい空気を発生させる中国北方で実施されている暖房機で、北京では大体11月中旬から開始され3月中旬まで屋内を暖めてくれる。

初めて過ごす中国での冬、この暖かさの理由を知った時はかなりカルチャーショックだった。

11月中旬、冷たい手をこすりながら家に入ると、部屋がなんとなく暖かい。暖房をつけっぱなしだったかなと部屋を見回るも違った。奇妙に思いながらも丁度寒くなってきたからラッキーという気持ちでその晩を過ごした。その翌日も、そのまた翌日も、部屋は暖かくなり続け、最終的には家に帰ると暑くて半そでになってしまうほどになった。日に日に暖かくなる部屋にさすがに恐怖を覚え会社の同僚に尋ねて初めて「暖気」の存在を知った。

その時から、すっかり「暖気」の温もりに魅了されてしまった。外気は真冬になるとマイナス10度以下になることもあるため、外に出ると刺すような痛みを感じるのだが、ひとたび屋内に入るとやんわりと温かい癒しの空気に包まれる。

そんな暖かい住みかに慣れてしまった体は、たまに日本に一時帰国しても一日中コタツの中から抜け出せない体質になり、せっかくの休みも寝て過ごすのがお決まりになってしまっている。

冬の北京は寒くて嫌だと思っていらっしゃる方も多いだろうが、是非一度極寒の中の温もりを感じに来てみていただきたい。きっとその暖かさに癒されることだろう。私のおすすめは「真冬こそ北京」なのである。

■文責:北京センター/曲田

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