今月号から始まる新しい企画「これもアウトソーシング!?」では、海外アウトソーシングの最前線の事例をご紹介していきます。第一弾は、医療の分野におけるオフショア・アウトソーシングについてです。
アメリカやカナダの医師の中では、カルテの電子化に伴い、診療中の患者とのやりとりを録音し、それを外部に委託してデータ化する人が増えています。カルテの電子化によって、医師がカルテ作成に要する時間が増えてしまい、残業が増えたり診療時間を削ったりしていることが背景にあります。
このサービスを提供しているのは、アメリカでもカナダでもなくインドに事業所を構えるインドの会社、Eyered Transcription Services社(以下、Eyered社)です。Eyered社には三つの特徴があります。
一つ目は、「時差」を利用したサービス。例えば、アメリカやカナダで診療終了後に、音声データを同じ国のアウトソーシング会社へデータ化を依頼した場合、「料金は高いけど速くできる」か「料金は安いけど時間がかかる」の二つの選択しかありません。ところがアメリカ・カナダとインドはちょうど昼夜が真逆。この「時差」を利用することにより、Eyered社では深夜料金もかからず翌朝にはデータ化したものを届けることが可能となりました。
また二つ目は物価差(アメリカを1とするとインドはその約3分の1)によるコストメリットです。インド人スタッフが行うため、データ化するための人件費がより安く抑えることができ、最大で60%のコスト削減を実現しています(インドの平均的な労働者の一ヶ月の給与は大体6万円~9万円)。
三つ目は、「より正確な」サービスを提供していることです。Eyered社では、医師から送られた音声データを文字におこし、それを別のスタッフが文章校正します。さらにその後、医療知識のあるスタッフが最終校正を行い、品質管理を徹底しています。それにより、99%以上の正確性を保ったサービスを提供することができています。
実際にこのサービスを利用しているアメリカ人医師の声:「私は数ヶ月間このサービスを使っていますが、本当に感謝しています。金額は半額なのに、以前利用していたアメリカの他の会社と同じくらいレベルが高いもので、診断書の品質だけでなく、仕事の速さにとても満足しています。」